乳がん検診で "のう胞"があるって書いてあるんだけど、病院に行ったほうがいいの?

A. "のう胞"だけの記載で"要精査"と書かれていなければ、無視しましょう。

 

のう胞は、乳腺内にできてしまう水の袋です。これはその人の乳腺の個性のようなもので、できやすい人はたくさんできますし、勝手に大きくなることもあれば、小さくなって消えることも、増えることもあります。ただ、中には水が入っているだけで、これといって病的な意義はありません。

乳腺はもともとミルクを作る臓器で、水分を分泌する力があります。授乳にかかわらず、大なり小なり水分の分泌はあります。それが一部にたまってしまうと思っていただければ結構です。

 

ちなみに、癌ができやすさにも関係はありません。

 

デメリットがあるとしたら、たまにそれがマンモグラフィでしこりとして映ったり、大きくなると触るとしこりとしてわかることがある程度のことです。

 

何より、検診や人間ドックの結果通知の仕方が悪い

以前から思っていましたが、検診や人間ドックの結果通知の仕方が本当に悪い。

なんの説明もなしに、"のう胞あり"と書かれたら、誰だってぎょっとするに決まっています。

私たち医師は"のう胞"とかかれていれば、

「あー、のう胞があるのね。でも、どうでもいいね。心配いらないね。」

と判断できますが、一般の方にはそんなのう胞の裏側にある気持ちが、伝わるわけもありません。 

検診上、のう胞を見つけた場合は、一応ありましたよ、見てますよということで記載をしなくてはなりません。だから、記載はするのです。

 

これをそのまま受診者に通知することが理解不能です。

これは、通知を送る側(自治体や人間ドックなど)が、医療者目線で受取手の気持ちを考えていないからこのようなことになっています。

注釈の一つでもつければ、不安は減ると思いますが・・・。

 

私は、のう胞を検診で見つけた時は、必ず次のようにお伝えしています。

「のう胞という水の溜まりがあるので、検診結果には"のう胞あり"と書かないといけませんが、これ以外のことで引っかからなければ、病院を受診する必要はないので、びっくりしないようにしてください。」

 

みなさん、のう胞にいちいち脅かされないようにしましょう。

でも、のう胞以外に何か気になるところがあれば、"要精査"と書かれます。その時は、必ず医療機関を受診してください。