乳がん検診で石灰化があるって言われたんだけど、私って乳がんってこと?

A. 石灰化には、気にしなくて良いものから、癌を疑うものまで多様です。"要精査"かどうかだけを気にしましょう。

 

石灰化は、形と分布によって、癌を疑う強さが変わります。完全に良性なもの(無視していいもの)もあるので、”石灰化がある”="病気"ではないことを覚えておきましょう。

 

乳がん検診マンモグラフィの石灰化は、形と分布によって5段階で評価します。

 

カテゴリー1・・・石灰化なし / 明らかに良性

カテゴリー2・・・明らかに良性

カテゴリー3・・・良性を考えるけど、がんの可能性も0ではない

カテゴリー4・・・がんが疑わしいけど、良性の可能性もある

カテゴリー5・・・がんが強く疑われる

 

このカテゴリー3以上が、"要精査"ということになります。

実際、カテゴリー3でも最終的に乳がんが見つかる確率は5-10%程度です。

 

検診結果では、カテゴリーの判定まではみなさんに通知は来ません。

"要精査"と書かれている場合は、必ず詳しい検査ができる医療機関へ受診しましょう。

それ以外で石灰化があると言われた場合は、まったく心配する必要はなく、わざわざ病院を受診する必要はありません。

 

結果通知の仕方が悪いと思うのですが、"石灰化"という言葉だけが、一人歩きして不安をあおってしまっているケースがあります。

別に良性の石灰化があるからといって、がんになりやすいわけではありません。

みなさんが、気にするのは"要精査か否か"だけでいいと思っています。

 

このあと、どんな検査が待ってるの?

通常はまず超音波検査を行います。必要に応じてMRIを行います。

そこで、マンモグラフィで見えた石灰化の位置と一致する病変がみえることもあります。その場合は、超音波でみながら、細胞診という細い針でそこの細胞をパラパラと取ってくる検査や針生検という太い針で病変を取ってくる検査を行い、病変が良性か悪性かを判断します。

 

実は超音波は石灰化を捉えるのが苦手な道具です。

石灰化が超音波で確認できないこともよくあります。

その場合は、乳がんを疑う場合は、ステレオマンモトームと言ってマンモグラフィで乳房を挟みながら、針生検を行う検査を行います。

ただこのステレオマンモトームは石灰化がはっきりと見える場合にだけ行えます。非常に淡い石灰化の場合は検査ができないこともあります。

あまり強く乳がんを疑わない場合や石灰化が淡くてステレオマンモトームが難しい場合は、半年から1年ごとのマンモグラフィの定期チェックとなります。石灰化が増悪していかないかどうか、チェックしていきます。

 

すぐ詳しい検査をしてくれないと心配!?

石灰化で要精査になり、針を刺す検査を行わずに、最終的にマンモグラフィでの定期チェックとなった場合、 もしこれががんだったらどうしよう、進行したらどうしよう・・・と心配される方がみえます。

もちろん、その可能性は0ではありませんが、実はさほど心配はありません。

非常に淡い石灰化で見つかってくるような乳がんはほとんどが非浸潤がん(DCIS)といって、手術を行えば命には直接影響のない病変です。

中でも低悪性度の非浸潤がんは、中には一生涯進行することがない病変もあるのではないかと言われています。これらの病変に対して、手術を行わずに様子をみることはできないか、ということを現在JCOGという日本の臨床試験グループで検証中です。将来は、低悪性度の非浸潤がんは手術をする必要がなくなるのかもしれません。

このような背景から、しっかり検査ができる段階になってからの治療で決して、遅くはありません。気持ちはとってもわかりますが、慌てる必要はありません(慌てても生検ができない場合は仕方がないのですが・・・)。逆に、石灰化が増悪してくるようなタイミングがあれば、その時はしっかりと調べていくべきです。