更年期障害に対する女性ホルモン補充療法で乳がんのリスクは心配するべきか

女性ホルモン補充療法って、何を補充している? 女性ホルモン補充療法(HRT)は、いわゆる更年期障害の症状を和らげる目的で一般的に行なわれている。 この更年期障害の原因は、女性ホルモンであるエストロゲンが閉経によって足りなくなることで起こってくる…

地中海料理が乳がんを防ぐ、と言うわけではないけれど

腸内細菌叢のように、乳腺の中にも細菌叢が存在しており、これが食事の影響を受けるらしい。 今回Cell Report誌に報告されたのは、これまで、食事と乳がんに関する研究・報告は様々なされてきているが、乳腺内細菌叢から乳がん発症のメカニズムに迫れないか…

サプリメントなどの補完療法を受ける人はかえって再発率が高くなるという皮肉

補完療法を受ける人は、再発率が高い 補完療法の定義は様々だが、ここでは、ハーブ、ビタミン、ミネラルといったサプリメント、ホメオパシー、ヨガ、鍼灸などのことを指す。 実に、44-88%の人ががん治療中になんらかの補完療法を試すというデータも存在する…

鍼治療は、アロマターゼ阻害薬の関節痛を楽にしてくれるかもしれない

閉経後乳がんで、よく使用されるホルモン療法薬にアロマターゼ阻害薬がある。 効果としてはお墨付きだが、副作用の一つに関節痛というのがある。 関節軟骨にもエストロゲン受容体がでており、アロマターゼ阻害薬を使用することによって、結果として関節の潤…

家族から、「死ぬなら癌がいい」と言われた話。

以前、一人の40代女性の乳がん患者さんを看取った。 非常に献身的な旦那さん、両親、子どもたちに囲まれて、病棟で亡くなった。 最後の表情は、穏やかそのもので、今にも話しかけたら返事をしてくれそうな安らかな表情だった。 お見送りを終えたあと、旦那さ…

更年期障害に対する女性ホルモン補充療法で乳がんのリスクはどこまで心配するべきか

女性ホルモンって、実際何を補充している? 女性ホルモン補充療法(HRT)は、いわゆる更年期障害の症状を和らげる目的で一般的に行なわれている。 この更年期障害の原因は、女性ホルモンであるエストロゲンが閉経によって足りなくなることで起こってくる。 …

医師だから思う、がん再発後の人生を豊かにするためにできること

アドバンスケアプラン二ングって知ってますか? アドバンスケアプラン二ング (Advance Care Planning: ACP)の定義: 今後の治療・ 療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス つまり、残された人生でどんなことがしたくて、ど…

乳がん検診で石灰化があるって言われたんだけど、私って乳がんってこと?

A. 石灰化には、気にしなくて良いものから、癌を疑うものまで多様です。"要精査"かどうかだけを気にしましょう。 石灰化は、形と分布によって、癌を疑う強さが変わります。完全に良性なもの(無視していいもの)もあるので、”石灰化がある”="病気"ではないこ…

乳がん検診で "のう胞"があるって書いてあるんだけど、病院に行ったほうがいいの?

A. "のう胞"だけの記載で"要精査"と書かれていなければ、無視しましょう。 のう胞は、乳腺内にできてしまう水の袋です。これはその人の乳腺の個性のようなもので、できやすい人はたくさんできますし、勝手に大きくなることもあれば、小さくなって消えること…

乳房の痛みや違和感は、乳がんと関係がありますか?

A. 基本的に、乳房の痛みは乳がんとは関係ありません。 「乳房に痛みがあって心配です」 「ここら辺に違和感があります」 と言って日々多くの方がやってきます。 基本的に、乳がんは乳房痛の原因となることはほとんどありません。 乳がんのしこりは、触って…

3人に2人は、乳がん検診を受けないという事実

様々な啓蒙活動や芸能人の乳がんの告白によって、以前よりは注目度が少し高まっている乳がん。 外来をやっていると、 「最近、乳がん流行ってるじゃないですかー」と言われることがよくある。 たしかに乳がんにかかる人が増えているのは確かだが、最近たまた…

どの情報が正しいのかを読み解くのは難しすぎる

"〇〇で、がんが消えた"というよくあるフレーズ。本当に騙されてはいけない。 誰だって、"治らない"と言われたら、本当に"治らない"のか、"治る"方法はないのかを模索したくなるに決まっている。こういう人の気持ちを逆手にとった悪徳商法だ。 その広告が本…

いっそのこと、反対の乳房も取ってほしいという不安

予防医学は、そのリスクに応じた検診や治療が大切。 この"リスクに応じた"というのがポイントというのが今日のお話。 その不安は理にかなった不安? たまに、乳がんで手術を予定する方の中に、不安だから正常な反対側も切除してほしいという要望がでることが…

圧倒的な"遺伝情報取り扱い後進国"日本にオラパリブがやってきた

BRCA変異を持つ遺伝性乳がんのための薬 先日、BRCA遺伝子変異を持つ進行再発乳がん患者さんに使うことができる新薬が承認・発売となった。PARP阻害薬というDNA修復に関わるタンパク質の阻害薬。BRCA遺伝子変異を持つ乳がん患者さん専用の初の薬剤だ。 効果に…

乳がん検診で、がんが見つかった人から、「今まで検診ちゃんと受けてたのに!」と怒られた話。

先日、検診で”要精査"となって私の元にやってきた方がいた。詳しい検査の結果、最終的な診断は乳がん。 まだ触診でもわからないようなごく小さなものだったが、浸潤がんだった。おそらく1年前の検査では指摘することは難しいだろうと思った。まさに、このよ…

オートファジー制御が乳癌晩期再発を防ぐかもしれない

オートファジー制御が晩期再発を解決する一つの鍵かもしれない ER陽性乳癌の重要な解決すべき問題の一つに、術後5年以降の再発 "晩期再発"がある。実にER陽性乳癌の50%ぐらいは5年以降に再発してくるから厄介な話。骨髄などにじっと休眠状態(Dormant)で潜…

乳癌に免疫療法は効かないって本当?

とある日のyahooニュースに、 「stage4乳癌が免疫療法で寛解」 との文字が。 またまたー・・・と思って一応内容を確認してみると、出典元はNature medineという一流雑誌。論文掲載時期からは少し経過しているが、今日はそれにまつわる話。 最近、様々ながん…

あなたと私と乳がん

あなたと私たちは同じ方向を向いているか はじめまして、私、とある"がん拠点病院"に勤務する乳腺専門医です。 日々多くの乳がん患者さんとの診療を通じて、様々な経験をさせていただいております。辛いことも、嬉しいことも。 そんな中で、どうしたら日本の…